論文紹介:むち打ち損傷について【交通事故 むち打ち 補償】

はじめに

 

小川鍼灸整骨院のブログです。今回は交通事故でよくみられるむち打ち損傷に関する、江川正先生の「むち打ち損傷の治療」という文献です。1994年の文献ですので、ちょっと古いですね。でもその、有用です。2000年ぐらいを境に医学論文の形式もずいぶんと変わりました。EBMという考え方が主流になってきましたので、論文の質が重要視されだしたのです。そのために、発表される論文の中身も変わってきました。まあ、この話は置いておきましょう。

 

担当は小川です。

http://www.korikori.com/staff/

 

 

内容

 

 

調査期間の3年間に交通事故で病院の外来を受診したむち打ち損傷患者さんは188例であり、そのうち最後まで観察できた男性40例、女性10例の合計50症例でした。それらの患者さんに対して行なった治療と治療期間、そして補償に対して満足できたかどうかに関するアンケート調査です。

結果は次の通りです。

 

・受傷機転では追突事故が17例と最も多かった。

 

・年齢は30歳代を中心に多かった。

 

・受傷から受診までの期間は2週間までが19例と最も多かった。

 

・初診時の症状として、自覚症状では頚部痛、頭痛、上肢のしびれ感を訴える患者が大多数であり、

その他、嘔気や耳鳴りも比較的多くみられた。

 

・他覚的には明らかな神経障害を認める患者は少数であった。

 

・レントゲン検査では症例の半数に頚椎の変性(老化)がみられた。

 

・臨床症状は、頚椎捻挫型42%、捻挫+バレー型34%、神経根型12%、脊髄型10%

バレー-リュウ型2%
(バレー-リュウとはBarr'e-Lieau症候群のことで、むち打ちによって起こる自律神経症状)

 

・治療期間は1ヵ月程度と4~6ヵ月程度が多く、最短1日、最長23ヵ月平均3.9ヵ月で、捻挫型以外では

長期化する傾向があった。

 

・レントゲンではもともと頚椎に変性(老化による変化)がみられるものが多かった。

 

・50歳中13例が手術になり、30代が最も多かった。手術は5~6ヵ月の保存療法で効果がない例や受傷

後に明らかな上肢・下肢の神経症状がある例に行なわれていた。

 

・アンケート調査に協力したのは50症例中18症例(保存療法13例、手術5例)で、1/3の患者で頭痛が

残っており、脊髄型やバレー-リュウ型で就労困難の患者がいた。

 

補償問題に関するアンケートでは、満足と答える患者はおらず、普通または不満足と答えるのが半数

だった。

 

・捻挫型では残存症状はなく、脊髄型とバレー-リュウ型で残存症状を訴えていた。

 

 

考察では概ね次の通りです。

 

 

むち打ち損傷は、頚椎がムチのようにしなることで椎間板やそこに走る神経が損傷されることであ

る。

 

むち打ち損傷の痛みでは心因的な要因も絡んできて、特に頭痛などの自律神経症状がおこるバレー-

リュウ型で治療が難しくなる。

 

補償の問題では満足している人がすくなく、交通事故での治療をさらに難しいものにしている。

 

 

当院の見解

 

 

 

当院にむち打ち損傷で来院される型の多くは捻挫型か捻挫+バレー型の患者さんです。概ね3ヵ月程度でみなさん楽になっておられます。

 

重症化するケースとしては、もともと肩こりや頭痛などの首回りに不調を感じておられた人が多いですね。というのも、基本的には頚椎に変性(老化)などがあり、交通事故によるむち打ちの様な力が首にかかって、その部分が悪化してしまうからです。

 

交通事故をきっかけに、これまでなかった痛みが出てくることはよくあることです。このような痛みが長引くかもしれない、一生付き合わなければいけないのかも、と思ったとたんに不安や怒りがわき上がり、痛み以外の様々な感情も生まれてきますね。

 

そう言う意味では、交通事故によるケガについては心理的な要因と同時に、補償の問題もかならず絡んできます。

 

当院では交通事故による痛みの患者さんに対して、痛みの治療だけではなく、心理面や社会面にも配慮して治療を行なうようにしています。

 

治療のなかで痛みや補償について納得のいく解釈ができるように促しています。

 

交通事故に出会ってしまったことは本当に不幸なことで残念なことです。しかし、そのネガティブな出来事をできるだけ早く解決させないと、不幸な時間が長くなり、不幸が増大してきます。

 

痛みや補償、今後の生活について折り合いを付けることはそう簡単なことではありません。しかし、なんとか折り合いを付けることができて、前向きに生活していけるように、当院では患者さんをサポートしております。

 

 

おわりに

 

 

小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区、生野区界隈で交通事故による痛み、むち打ち損傷でお悩みの方は是非とも当院にご相談下さい。当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

参考文献

 

江藤正:むち打ち損傷の治療.整形外科と災害外科43:(2)507~http://509,1994.https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/43/2/43_2_507/_pdf/-char/ja

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小川 貴司(おがわ たかし)

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