スポーツ障害
スポーツ障害
スポー ツ障害という言葉は巷でよく聞きます。また、スポーツをしていて痛みを感じるようになった方や、スポーツをしていて痛みを訴える児童や学生、その親御さん 方は特に興味を持っておられると思います。そこで、巷で言われるスポーツ障害とは実際にどのようなものなのかをここでわかりやすく説明します。
巷 でよく言われるスポーツ障害は、スポーツをしている間、またはその期間中に傷めた、痛んできたというようないわゆる「スポーツ障害」と「スポーツ外傷」に 分けることができます。「スポーツ障害」は体の決まった部分に、そのスポーツ特有の動きを繰り返し行うことによって負担がかかり、痛みが出てくるもので、 これは使いすぎ症候群ということもできます。たとえば野球のピッチャーはボールを繰り返し投げるという動作を行いますので肩の一部分(肩板といわれる部 分)に負担がかかり、痛みが出ます。
「ス ポーツ外傷」はそのスポーツ特有の動きの時に一度に多くの力が体に加わった結果、体の一部分が大きく損傷を受けることをいいます。たとえば、バスケット ボール選手が体育館で走っていて急に止まることで、膝の靭帯に大きな力が加わり、その靭帯が切れたりすることもあります(前十字靭帯損傷)。そのほか、ア メリカンフットボールやラグビー、格闘技など、体と体が強くぶつかったりするスポーツでも、ぶつかった時に大きな力が体に加わり、けがをすることがありま す。これらはスポーツ外傷といえます。
以上のように「スポーツ障害」は、スポーツによって体に負担が少しずつ蓄積したために痛みが出てくることに対して、「スポーツ外傷」は、スポーツによって大きな力が体にかかった結果、けがをして痛みが出るというものです。
スポー ツ外傷はその原因がはっきりしますので、明確に区別することができるのですが、スポーツ障害はその痛みがなんとなくであったり、いつの間にか痛いなどいつ から痛いのか明確でなく、痛みの原因が本人でも曖昧にしかわからない場合が多いです。そのように曖昧なスポーツ障害の痛みは原因がわからないだけに不安に 陥ることもあります。そのような痛みの分析は、専門的な知識と経験が必要です。主に必要な分析は以下の通りです。
| 1 | 患者の年齢的な体の特徴と障害の関係の分析(たとえばオスグット病は小学校高学年か中学生に多い膝の痛みなど) |
| 2 | 痛みの原因となった動作と体の関係の分析 |
| 3 | スポーツ障害が起こりやすい体質かどうか?(体型や関節の角度、筋肉の硬さなど) |
| 4 | スポーツ障害が起こりやすい環境かどうか?(靴や道具の良し悪しや練習環境、練習量) |
| 5 | 競技生活における心理的ストレス等の問題 |
これらの分析の結果から治療が行われます。
分 析の内容を見てもお分かりの通り、スポーツ障害の原因は、年齢、身体的特徴、練習量などの環境、そのスポーツにおける動作のフォームなど多くの要素と関係 するために、単純に「その部分のマッサージ」や「その部分の電気治療」などではその問題は解決しません。一時的に解決しても、以前と同じようにまた練習を 再開すれば、再び痛みが出現するでしょう。
スポーツ障害に対する根本的な治療とは、上記の分析を元に、痛みに対して適切な障害予防のためのトレーニング、適切な期間の休養、練習環境の改善、筋肉の硬さなどの体質的要因の改善、などこれらの指導に加えて、適切な痛みのある部分の治療が必要になります。
当院ではスポーツ障害に対する治療を、上記のように包括的に捕らえて、患者さんに満足していただけることを目指しております。
具体的なスポーツ障害治療の例
オスグッド病
14歳になったA君は膝の痛みを訴えて来院されました。膝の下に大きなふくらみが見られます。歩くと痛みがあり、走ることはもちろん、ボールをけることもできません。お話を聞くと次のようなことが分かりました。
A 君は中学校に入学と同時にサッカー部に入りました。そのサッカー部は地域では強豪校のひとつで練習量が多いことで有名です。2年生になってレギュラーに なったこともあって最近の練習量は増えています。身体的な特徴としては、A君はこの1年間で身長が4センチも伸びたそうです。また、太ももの筋肉が非常に 硬く、うつ伏せで膝を曲げるとかかとがお尻につきません。体の硬いA君はストレッチが大嫌いということでした。
オ スグッド病は、大腿四頭筋という膝を伸ばす大きな筋肉が、膝頭の下の部分に付着する部分で炎症を起こす疾患です。この疾患は成長期に多いのです。筋肉は骨 から骨に付着しますが、成長期では骨が成長し、筋肉は後から成長することになります。つまり、骨の成長が早いと、骨から骨に付着する筋肉の緊張度合いが増 すわけです。それに加えて、運動量が多くなると、付着部に大きな負担がかかります。さらに、大腿四頭筋の付着部は骨端核と呼ばれる成長する部分であり、構 造上は弱い部分です。もともと筋肉が硬いとなれば、付着部にかかる負担は相当大きなものになるわけです。
A君の治療には痛みを軽減させるマッサージや電気治療の他に、次のような指導が必要になります。
・患部のチェック ・痛みを感じない程度のストレッチ ・適度な練習量 ・クッション性を考慮された靴選び ・痛みを考慮した練習復帰までの日程調整 ・レギュラーの座から一旦離れることの心理的ストレスへの対処
痛みの治療と並行しながらこれらの指導を行うことが、有効なスポーツ障害予防につながると当院は考えます。














