腱板損傷の患者さん【腱板炎 野球 棘上筋 棘下筋 肩の痛み】

はじめに

 

小川鍼灸整骨院のブログです。今回は肩の痛みとして良く遭遇する腱板損傷です。思いついたので早速記事にしてみました。患者さんのプライバシー保護の観点から、事例の本質が変わらない程度に加工して記述します。

 

症例

 

35歳男性Kさんです。右肩の痛みで来院されました。子供の頃から大学まで野球選手でその後引退。たまに草野球を行なう程度だったのが、息子さんが野球をするようになってチームのコーチをするようになった。Kさん自身も草野球に参加するようになり毎週週末にボールを投げる機会が増えたとのことです。あるときKさんは肩に痛みを感じてだましながら投げていたがとうとう痛くて投げられなくなり、日常生活に支障はないが肩を上げる途中で引っかかり感を感じる様になったので整形外科を受診しました。病院でMRI検査を受けたKさんは、医師が「腱板(けんばん)」という言葉を使っていたことは覚えているが説明の内容は覚えていないと話しました。また、安静にするしかなく、より積極的に治すのであれば手術が必要と言われたそうです。本人さんは手術はしたくないと考えています。当院を受療している友達の紹介を経て当院を受療されました。

 

問診と診立て

 

問診と診立ての結果は右肩腱板炎または軽度の腱板断裂ではないかと考えました。ただし、私たちは診断をすることができないので構造上考えられることとして説明しました。また、医師の説明がどのようなものであったのかを、患者さんと一緒に想像しました。

 

①押さえて痛いところ(圧痛点)は大結節と呼ばれる部分でした。

 

②外観では写真の通り肩甲骨周囲の筋肉が左に比べて明らかに痩せています。

 

③右肩関節を90°ほど外から横に挙げたところ(外転90°)付近で引っかかりを感じるということです。

 

野球をしていて痛くなったというエピソードも十分に腱板炎を疑う理由になります。

 

 

施術

 

施術は肩周りの筋膜と軟部組織の癒着を解放するため、また血流を改善して患部の修復を早期に促すための深部マッサージと腱板の機能を高めるための筋力トレーニングを予定しています(施術の写真は別の患者さんです)

 

結果

 

この患者さん、昨日来院されたばかりですので、結果は出ていません。後に報告したいと思います。

 

考察

 

整形外科を受診した後に当院を受診される方は多いです。理由はいくつかあります。1つは説明がいまいち理解できず納得が出来ないことが多いためです。また、治療の方法が手術しかないと言われる先生も多いようです。リハビリ科が併設されている病院では通院による物理療法が行なわれますが、それでも代替医療を受療される患者さんも多いです。私は患者さんが代替医療を好む理由を、コミュニケーションの量と質の問題であると考えています。患者さんはよく説明してもらい、自分に寄り添ってもらいたいと考えるわけです。私たちの大切な仕事だと考えます。

以下に問診と診立てに関する考察です。

①圧痛点については、大結節は腱板損傷が起きやすい、棘上筋という筋肉が付いているところで腱板損傷の際にはここに痛みがでます。患者さんはどこが痛いのかよく分からないと言いますが、押さえると「ああ、確かにそこ!」と反応することが多いです。

 

②外観での筋肉の痩せに付いての考察ですが、腱板損傷の多くは棘上窩という部分から始まる棘上筋の付着部であるというのは有名な話です。しかし、腱板損傷でその下の棘下窩から始まる棘下筋が萎縮していることはいつも不思議に思ってました。実は、最近の知見では、腱板損傷が起こる部位には棘上筋だけではなく、棘下筋もしっかりと付着しているということです。このことはFacebookの記事でも紹介しましたが大変興味深い事実です。また、今回の筋萎縮は比較的大きいものなので、もしかしたら腱板断裂の可能性もあると考えますが、Kさんの記憶からの推測では医師はそのような説明を多分していないと考えます。https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1558981727580551&substory_index=0&id=100004062168934

 

③肩関節外転90°での引っかかり感の考察です。腱板損傷によって腱板がうまく働かなくなると、肩関節の動きに不具合が生じます。そうなると肩峰下滑液包という組織が、肩峰と大結節の間で挟まってしまうのです。肩峰下滑液包は本来、この部分の動きをスムースに行なうために存在しているのですが、この組織が肩峰と大結節の間で挟まることで、肩関節のスムースな動きが妨げられてしまいます。

 

腱板炎は投球障害肩としても有名ですね。この患者さんは自分のフォームも気にしており、痛みの出ているときは肘が下がっていると話しました。肩の外転角度が下がってくると腱板に負担がかかりますし、手投げになる傾向にあります。もしかしたら、Kさんの投げ方もそうかもしれませんね。

 

あとは、似たような疾患を消去法で消していく事になりますが、理学所見だけで正確な診断を行なうことは難しく、関節鏡を施工しないと分からないことは多いようです。Kさんと同じような症状で経過が長い患者さんに対して関節鏡検査を行なった研究では、肩甲骨の臼蓋にある関節唇損傷や上腕二頭筋長頭筋腱炎などがみられる場合があるとのことです。

 

おわりに

 

当院では、肩の痛みについてしっかりと見たてを立てて患者さんに説明を行ない、納得頂いた上で治療を行なっております。痛みの治療においては納得頂く事が非常に重要と私たちは考えています。特に原因がよく分からない痛みに対しては、想定できる原因も一緒に考えて患者さんの納得が得られるように努力します。時にはカウンセリングの手法も使います。認知行動療法やマインドフルネスストレス低減法などです。

 

どこに行っても良くならないとお困りの患者さんは一度小川鍼灸整骨院にご相談ください。当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

参考文献

 

井樋 栄二他:腱板不全断裂の理学所見.肩関節,21 巻 2 号 203-206,1997

https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/21/2/21_203/_pdf/-char/ja

 

藤原邦高他:肩関節投球障害に対する鏡視所見. 12 巻 2 号 p. 163-167 ,1988

https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/12/2/12_163/_pdf/-char/ja

 

荒木誠一他:thumbup/thumbdown肢位での上腕外転における鰊下筋の活動
-1腱板筋トレーニング手技の機能解剖学的再検討-

柔道整復接骨医学第23巻1号(2014) 1-

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