62.僕にしか治せない!とちょっと自慢げに思えた治療の経験

2015年8月のブログです。ホームページ移設
のためにここに移動しました

 

じょんまん

 

写真はジョン万次郎です。日本人で初めて海外

留学をした万次郎はその後、日本の外交に大活躍

したそうです。

 

彼は自分に襲い掛かる不幸をポジティブに方向

転換させてきたように思います。私が尊敬する

歴史上の人物です。

 

 

さて、

僕にしか治せない!というか僕だからこそ治せる!

と思えた患者さんがいらっしゃいましたので、

ちょっと自慢げに紹介させてもらおうと思いま

した。

 

「痛みを自己消化できるかどうかが問題だ!」

と前回のブログでお話ししましたが、

今回の内容は痛みの自己消化とも関係してき

ます。

 

その方は両膝の痛みを訴える80歳の女性Kさん

です。

鍼治療を希望されて来院しました。印象的なの

は自動ドアから院内に入ってくるとすぐにKさん

「軟骨がちびって困ってるけど治せるの!

ここは予約がいるの!?」

 

と大きな声で話してきたことでした。

 

少しお待ちいただいて、Kさんの番が来たので

中に入ってもらい話を聞くと次の通りです。

 

5年ほど前から両ひざに痛みを感じてきた。それ

以外には基本的に病院へは行くことがない。膝の

痛みは動き始めが痛く、それ以外の痛みはない。

以前に病院へ通っていたけど病院では薬をだして

くれるだけで他に何もしてくれない。

病院ではもう治らないと言われた。

それでは困る。

なんとか軟骨も元に戻して完全に治るように

したい!あんたはこの膝を治すことはできるの?

 

私は、Kさんが入ってくるなりいきなり放った

言葉や痛みの訴え方からKさんの痛みに心理的

な要因が関係しているのではないか?という

直感を得ました。

 

そして、心理的な要因が関係しているのかどうか

を確認するためにするべきことは、患者さんを

現代医学的に診察して、身体的な痛みの要因

を把握し、患者さんの痛みの訴え方がその要因

にふさわしい程度かどうかを確認することです。

 

心理的に患者さんを診るために重要なことには、

実は西洋医学に徹して患部を診察することなの

です。

 

 

 

変形が進んでいて痛みが長引いている膝の多くは、

滑膜という関節のなかの組織も腫れているために

、膝の外観はぼんやりとしていて腫れぼったい

です。そして、水が溜まっていることもよく

あります。

なにより、変形が進むと関節の動く範囲は狭く

なります。

ベッドの上で膝を伸ばすと膝の下とベッドの間に

すき間ができるのです。

 

Kさんの膝は、西洋医学的に軽度から中等度の

変形性膝関節症と見られました。動作開始時の

痛みと内側の痛みがその特徴です。

また外傷の経験もないとのことでしたのでそう

考えられます。膝蓋骨(つまりひざのおさら)

の形は非常にきれいにみられました。

全く腫れぼったくはありません。

膝はしっかりと伸びています。

膝としてはきれいな膝であり、5年も前から

ずーっと痛みが続いているようには全く見え

ません。

 

ただ、問題が一つ。それは、膝が90度以上曲が

らないということです。

 

腫れもなく伸ばすことは十分にできるのに、90度

しか曲がらない。???これはおかしいような

気がしました。私はKさんに、急にバキバキと

関節を動かすようなことはしないことをしっかり

と約束してKさんの不安を和らげてからその膝

を曲げていくことにしました。

 

Kさんの顔は歪みました。そして過剰な反応を

します。まだ痛みがないであろう浅い角度で

すでに痛みを訴えるのです。

 

 

 

Kさんに「大丈夫ですか?」と丁寧に声をかけ

ながら少しずつ関節を曲げていきます。

90度近くで、「これが限界!」という声が

Kさんから漏れました。

 

診察の結果、私の考えを次のようにKさんに伝え

ました。そして、興味深いのはKさんの反応

でした。

 

Kさん、Kさんは膝を治したいのですね。

わかりました。僕にはそれができるかもしれま

せん。

ただ、膝が治るとはどういうことなのかを

前もって説明させてください。

Kさんの膝は老化が原因で軟骨がすり減っている

ために痛みが出ています。正直言いますと、

それを元通りにするためには若返るしかありま

せん。そういう意味ではKさんの膝は治りません。

誰も治すことができません。

ただ治ることを、軟骨を元に戻すと考えるの

ではなく、今の膝で一生うまく使っていくこと

と捉えなおせば、これは治すことはできますよ。

 

 

どうですか?

 

この会話の文脈のなかでKさんは、自分の考えを

さらに話し出しました。

 

「そうやねん、このまま軟骨が減っていったら

手術をしなくてはいかないと医者に言われたけど、

手術は絶対に嫌。だって何人も手術をした人の

話を聞いたけど、どの人もまだ痛いって言って

るもん」

 

Kさんはどうも性格的にまっすぐな方のようです。

感じたことをそのまま現実のレベルに引き上げる

というか・・・・うまく説明できませんが。

 

そして感じたことをすぐに言葉にする。受付で

Aさんが最初に放った大きな声もその性格のせい

ではないかと思いました。

 

 

この性格のためにKさんは、自分の膝は手術を

しないと元通りにならない、でも手術はしたく

ないという八方ふさがりの状況に置かれ、

その抜け道として軟骨を増やして治すという

思考に走ったのだと思われます。

 

Kさんのような性格の患者さんは説明に時間が

かかります。説明を最後まで聞いてくれないこと

が多いですし、なにより自分なりの解釈が強く、

私が行う説明をその通りに解釈してもらえてい

る感じが全くしないからです。

だから時間がかかるのです。

 

それでも私は、徹底的に説明しました。

今考えると、忙しい時間帯だったので早く

伝えて次の患者さんの治療を行いたいという

気持ちが私には強かったのかもしれません。

 

 

勢いがあるKさんの口調に負けないようにして

いたのかもしれません。

 

どちらも治療者としてはよくないことです。

しかし、結果的に私の声はKさんに届いたと確信

しました。

 

その確信の理由は、私が行った説明をKさんが

受け入れてくれたと見える会話が成立したため

です。

 

「Kさん、結論から言いますと、Kさんの膝の

状態はKさんが思うほど悪くはないですよ、

Kさんの膝の軟骨はKさんの年齢を考えると

十分に寿命いっぱいもつと思います。

 

ただ、問題なのは膝が90度以上曲がらないこと

です。これはもしかしたらKさんが膝を安静に

保ちすぎて曲がらなくなってしまったのでは

ないでしょうか?どうですか?」

 

私は上のように話しました。

 

するとKさんは

 

「そうです。だってこれ以上使うと軟骨はすり

減っていくから。そうしないために正座なんか

は一切しないようにしています。できるだけ

曲げないようにしていました。でもそうかも

しれまでん。本当に曲げないように意識して

いたから・・・・。じゃあ、これからは痛くても

できるだけ動かしていけばいいんですね」

 

といいました。

 

上記のやり取りの中でKさんは膝に対する私の

解釈を受け入れてくれました。Kさんは膝の痛み

を過剰に評価しており、自分の膝が弱っている

という強いイメージをお持ちのようです。

 

私は鍼灸治療と可動域訓練を用いて膝の可動域

を可能な限り元に戻していくつもりです。

 

そしてその治療の中で最も重要なことは可動域

の回復ではなく、Kさんの膝に対する自信を回復

させることとします。きっとKさんはある程度の

可動域を獲得されるころには不安を乗り越えて

膝に対する自信を取り戻せているのではないで

しょうか。

 

ここに前回お話した痛みの自己消化が働くの

ですね。

 

Kさんの治療が私が思ったように運べばよいの

ですが、また報告しますね。

 

そうそう、僕にしか治せない!と思ったのは、

膝の痛みの理論的な側面にのみ焦点を当てる

のではなく患者さんの思考や背景までを考慮

して治療を行うことが必要となる患者さんだと

思われたためです!

 

(おわり)

 

 

 

小川鍼灸整骨院
病院で診てもらったけど楽にならない!自分の痛みはだれにも分からない!心療内科でも診てもらっているけどよくならない!とお困りではないですか?そのような首、肩、背中、腰、ひざや足の痛み、手術後の痛みを当院は頑張って根気よく治療します。大阪市平野区加美北1-1-11です。

 

南巽リハビリデイサービス たすく
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