2015年6月のブログです。ホームページ移設
のためにここに移動しました。
初診時のAさんに対して私は、警戒心が強く
神経質な人だなという印象を受けました。
交通事故が原因で痛みが長引いているという
ことですので、私は何らかの感情が症状と
関連している可能性があることを想定して話を
伺うことにしました。そして話された内容が
上記のようなことでした。
彼女の警戒心は多分、これまで受療してきた
主治医(整形外科医)、一軒目の鍼灸整骨院、
二件目の鍼灸整骨院での受療の結果として引き
起こされたものでしょう。
診察を進める会話の中でたどり着いたのは
やはりグリグリと触れることができる頚の腫瘤
でした。Aさんは、自分が痛みを感じる部位に
存在するグリグリがどうしても気になって仕方
がなかったようです。
例えばそれは、このグリグリが消えないこと
には自分の症状はなくならないのではないか?
とか、このグリグリはもっと大きくなってくる
のではないか?とか、もしかしたら強い刺激の
鍼をしたためにこのグリグリができてしまった
のではないか?というものでした。
この話を聞いた私は、Aさんがこのように考え
ること自体が彼女の苦しみの一部となってい
るとらえました。この苦しみは、交通事故に
よる外傷で始まった純粋な頚と腰の痛みに加え
てそれ以後の複数の治療者に対する感情が絡み
合って生じていると解釈したのです。
記述が漏れていましたが、彼女の加害者との
補償交渉も自分が納得できるように進んでい
ませんでした。このこともまた苦しみを大き
くさせる要因であると考えられます。
初診時の診察の中で私は、その腫瘤について
リンパ節であると説明しました。それから
このグリグリについて、彼女にとって症状を
解消するために建設的と思われた解釈を提示
しました。
それは、「もしかしたらそのグリグリは
元からあるものであったかもしれません。
ただ、交通事故の痛みが頚に表れてその
痛みを気にするあまりにその部分を触る
ようになり、(つまり意識するようになり)
ちょうど痛みを感じる部分にグリグリを
触れることができたのでそれが症状の根源
であると意味づけしたのではないでしょう
か?」というものです。
彼女はこの説明にうまく反応してくれました。
うまく反応するというのは、「なるほど!
そうかもね」と受け入れの態度を示すこと
です。
私は、彼女には話したいエピソードがたくさん
あることをすぐに理解できました。しかし
初診時にすべてを伺うことはできないことを
伝え、治療を継続していく中でいろいろお話を
聞かしてほしいという旨を伝えました。
そしてとりあえず今の痛みを楽にするための
治療を行うことにしました。
興味深いことに
彼女は、前の鍼灸整骨院では強い刺激の鍼治療
を受けていたにもかかわらず鍼治療が苦手
だったのです。
このことから私は、彼女が治療者に対しては
比較的従順な態度で接する患者さんである
ことを悟りました。なるほど、私の説明に
対して受入れの態度を示してくれるはずです。
治療方法はAさんがどのような治療を希望に
合わせるように決定しました。低周波治療と
その後の徒手療法です。徒手療法はやはり
緊張している筋肉を緩めるために行う旨を
伝えました。
もちろん強刺激ではなく、Aさんの緊張が
ほぐれる程度の強さです。
(つづく)
アクセス
小川鍼灸整骨院
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