5.痛みの原因がわからない!~「ヘンリー・ビーチャーと大阪のおばちゃん」~

 

 

 

2015年6月のブログです。ホームページ移設

のためにここに移動しました。

 

 

 

感情が痛みと関係するというお話をしました。

私の臨床ではよくみられることですが、この

ことは私が発見したことではありません。

 

 

第二次世界大戦時に軍医として最前線に赴い

たヘンリー・ビーチャーは最前線で負傷した

兵隊が鎮痛剤を欲しがらないことを報告しま

した。

 

 

この報告は、痛みと感情を説明する際によく

引き合いに出されます。

 

 

なぜ兵士は鎮痛剤をほしがらなかったので

しょうか?

 

 

最前線の兵士の誰しもが、きっと好んで

最前線で戦闘しているわけではありません。

兵士それぞれには家族があります。

 

 

兵士はなんとか戦闘を切り抜け、生きて家族

の元に帰りたいと強く願いながら、また、

死を恐れながら戦っているはずです。

 

 

そのような心理的状況の中で兵士が負傷する

としたらどうでしょう。

 

 

最前線での負傷兵は戦力にはなりません。

それはつまり「帰還」と「生」を意味する

ことになります。

最前線での命にかかわらない程度の程よい

負傷は、帰還のためのチケットとなり得る

のです。心の底から会いたいと思っていた

家族に会えるのです!このような状況での

負傷は、好ましいものと兵士の中で位置

付けられます。

 

 

その時のうれしさは尋常ではないでしょう。

痛みの感じ方も最小限に抑えられることは

想像できます。

 

 

一方、戦状で負った負傷と同程度の負傷を

日常生活の中で負ってしまうとどうでしょ

うか?

 

 

例えばある人が銃乱射事件の現場で被害に

巻き込まれたとします。その人は理由もなく

突然に日常をストップさせられるわけです。

 

 

「命は大丈夫なの!?」

 

「明日からの仕事はどうなるの?」

 

「今月の収入は?」

 

「明日は大きな商談があるのに、キャン

セルしなくてはならない!?」

 

「なんでこんな痛い目に遭わなければなら

ないの!!」

 

「なんで自分がこんな理不尽なやつの犠牲

にならなくてはいけないの!!」

 

兵士と同程度の負傷を負った一般市民は、

負傷に対して兵士のような感情を抱くことは

ないでしょう。

 

よって、兵士よりは鎮痛剤が必要になる

ことは想像に難くありません。

 

 

ビーチャーはこの経験をきっかけに心理的

状態と痛みの関係を研究を展開しています。

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痛みと感情が関係することはお分かりい

ただけましたでしょうか。

 

 

もっと簡単に想像するために、私が患者さん

によく行う話は次のようなものです。

 

 

あなたは商店街で買い物をしています。

「バシーン!」と背中を強くたたかれま

した。

 

 

振り返ると中年の女性が、「あ、人違い

やったわ、かんにんな」と大阪弁で言い

ました。

 

 

あなたの背中の痛みはこの人への怒りも

掛け合わさり大きなものとなるでしょう。

痛みが怒りに掛け合わさるとも言えますよね。

 

 

こうなれば、背中は単純に痛みだけではなく、

もはや理不尽さを感じる感情の部位になり

ますね。

 

 

一方、振り向くとそこに初恋の異性が

「久しぶり~~、元気にしてたの!」と

声をかけてくれたらあなたの感情はどう

なるでしょうか?

 

 

男性であれば間違いなく「おー!元気元気、

久しぶり-!」と機嫌よく会話するでしょう。

「よく声をかけてくれたね」という嬉しい

気持ちと共に。

 

 

体に加わる物理的な力は同じであっても

状況や感情によって身体への刺激の感じ方

は違ってくるという例を挙げてみました。

 

 

不定愁訴にも多かれ少なかれ、このような

感情の仕組みが関与しているのではないで

しょうか。

 

 

次に、実際に私がかかわった患者さんの

事例をお話しましょう。ただし、個人を

特定できないように、お話を加工して

記述します。

 

(つづく)

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