38.腰痛が意味付けによって創られる⑤

2015年7月のブログです。ホームページ移設

のためにここに移動しました

 

 

精神科医アーロンベックはうつ傾向に陥る人に

は特有の自動的な認知の過程があることを提唱

しました。

 

 

 

それらは

 

「自己関連付け」、

 

「分極化した考え」、

 

「選択的抽出」、

 

「恣意的推論」、

 

「過度の一般化」

 

などです。

 

 

 

実はこの認知の過程は、私が治療者として腰痛

患者さんと行う会話のなかでもよく遭遇するの

です。

 

 

 

具体的に説明していきましょう。

 

 

 

「自己関連付け」は、接した情報が自分に当て

はまるのではないか?と患者さんが過度に考え

てしまうことです。

 

 

 

「た○しの本当はこわい○○の医学」という番組

は製作者がこのことをうまく利用して作ったの

ではないでしょうか?私は情報番組をみて

「自分もそうではないか?」と心配になって

治療にいらっしゃった患者さんを多く経験した

ことがあります。

 

 

腰痛患者さんでも「私はもしかしたらヘルニア

じゃないか?ヘルニアは手術をしないと治らな

いのでしょ」とヘルニアでない腰痛患者さんが

周囲の情報から自分の腰痛を高く見積もりすぎ

て症状を膨らましている事例に出会うことが

度々あります。

 

 

 

「分極化した考え」は白か黒かをはっきりさせ

たい考え方だそうです。

 

 

 

痛みが少しでもあればそれは完全に治ったわけ

ではないとして活動を制限してしまう患者さん

はこの思考を自動的に行っていると考えられま

す。

 

 

「痛みがあっても動ける」という両極性の考え方

ができないのでしょう。また、

 

 

「重たいものを持ったら(激しい運動をすれば)

絶対に腰が痛くなる」

 

 

と決め込んでいる患者さんにも過度に偏った考え

をもっているということで当てはまるかもしれま

せん。

 

 

もちろん痛みが厳しく、実際にそのような状況

の人もいます。

 

 

しかしここで取り上げているのは、医学的な

診立てからは明らかに運動しても大丈夫と思わ

れるような患者さんです。

 

 

 

「選択的抽出」は「文脈の中からある部分を抜き

出し、そのために状況全体の重要性を見失って

しまうこと」とベックは紹介しています。

 

 

 

ほとんどの人は痛いと言いながらも日常生活を

送ることができている人が多くいます。

 

 

しかし中には時に動き始めだけに出てくる鋭い

腰痛に対して

 

 

「この痛みがどんどん大きくなっていって以前

に経験したぎっくり腰のようになるのでこの痛

みをなくさないといけない」

 

と解釈する人もいます。

 

 

もちろん、この人も日常生活を全うできている

人なのです。この人にとって重要なことは痛み

がありながらもなんとか日常生活をやりこなせ

ている事実ではないでしょうか。

 

 

しかしこの人はその実績に目を向けることなく

時に現れる痛みに意識が集中してしまうようです。

 

 

 

「恣意的推論」は「証拠がない場合や実際に全く

正反対の証拠がある場合に(あるにもかかわら

ず)、ある結論に飛躍すること」

 

と紹介されています。

 

 

 

腰痛患者さんでは、「雨が降ると痛みが強く

なる」という話がよく聞かれますね。

 

 

晴れの時にも痛みを訴えているのですがそこに

は言及せずに雨の日の痛みが特に強く強調され

るのです。

 

 

きっと雨の日に痛みが出ないときもあるので

しょうが、そのことについては言及しないのです。

 

晴れでも雨でも痛みがない日の痛みの記憶はな

いのでしょう。当たり前かもしれませんが。

 

 

そして最終的には天気予報で明日が雨だと知った

時から自分の腰痛に意識を集中させ過敏に反応

するようになるように思われます。

 

 

 

「過度の一般化」は「1つの出来事に基づいて妥

当でない一般化を行うこと」と紹介されています。

 

 

 

腰痛患者さんでよく聞かれるお話は、一度ある

動作で腰に痛みを感じた時には「また同じこと

すれば絶対に痛みが出る」というようなものです。

 

 

また、自分の父親がヘルニアで辛い思いをして

おり、自分も腰痛をもっているのでヘルニアは

遺伝するものであると考える人や、職場で2人の

職員がヘルニアになったという事実から自分の

仕事はヘルニアになりやすいし自分もそうなる

のではないかと考える人の思考過程も

「過度の一般化」と考えられます。

 

 

 

以上がベックが提唱したうつ傾向に陥る患者の

認知の過程を腰痛患者さんに置き換えた私の

考えです。

 

 

 

ベックはこの認知の過程を患者さん自身に意識

してもらうことで抑うつ的な状態になることを

回避することができると以下のように記述して

います。

 

 

 

「したがって、そうした区別を明確化し、誤っ

た概念化を修正し、より適応的な態度を身に付け

ることによって、心理的な問題が克服できるよう

になる可能性がある。」p13

 

 

 

自分にしか苦しみがわからない腰痛(腰痛に

限りません)を持つ患者さんの症状は、患者

さん自身の腰痛に対する意味付け(認知)に

よって創り上げられたものではないでしょうか。

 

 

 

そして患者さん自身が自分の思考の過程に気付く

ことができた時に、つまり、腰痛の意味が創り

上げられていることに気付いた時に腰痛が劇的

に軽減することがあるのです。

 

 

 

注意していただきたいのは、現在の私は上記の

考えがすべてだとは思っていないことです。

 

 

患者さんが行う意味付けを解消することですべて

の問題が解消するということはありませんし、

そもそも意味付けの解消は非常に難しい問題です。

 

 

 

しかし、「患者の認知がゆがんでいる」という

考え方が治療に有効な場合があり、それで

よくなる患者さんもいらっしゃるのは確かです。

 

 

 

だからここで取り上げるのです。

 

 

 

ベックの考えを用いて良くならない患者さんも

いらっしゃるのです。

 

 

 

ご安心ください。

 

 

 

そのような患者さんには別の考えがあります!

 

 

 

このような考えをたくさん持っておくことが

治療者としての「引き出しが多い」ということ

になるのだと私は信じて研鑽を続けています。

ちょっとカッコイイこといっちゃった、てへ。

 

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(つづく)

小川鍼灸整骨院

南巽リハビリデイサービス たすく

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