15.治療が上手くいった理由の考察⑥

2015年6月のブログです。ホームページ移設

のためにここに移動しました。

 

介護職員のFさん、ぎっくり腰になりそうな

ので困り果てて当院へ。

 

 

腰痛に対する悪いイメージを払拭させた方法。

それは次のようなやり取りでした。

 

 

私:「なるほど、Fさんはその抜けそうな感覚

の後に必ずぎっくり腰がやってくるとお考えな

のですね。

 

 

Fさん:「だって先生、あの痛みわかりますか?

もう、腰が抜けたらその場から動けなくなるん

ですよ。すっごく痛くって。あんな痛み、二度

とごめんです。絶対になりたくない!」

 

 

私:「なるほど。わかりました。でもFさん、

ぎっくり腰って突然やってくるものでしょ?

前触れなく。過去のぎっくり腰はどうでした

か?前触れはありましたか?」

 

 

Fさん:「いえ、ありません。いつも突然や

ってきます。」

 

 

私:「そうでしょ、みなさんそう言うんです

よ。ぎっくり腰は突然やってくるって。つま

り、前触れはないんですよね。もしかしたら

Fさん、Fさんがヤバイと思っているその痛み、

そのまま動き続けてもぎっくり腰にならない

んじゃないですか?」

 

 

Fさん:「うそーん、そんなん、そのまま動き

続けるなんて絶対に無理!」

 

 

私:「Fさん、一度だまされたと思ってやって

みてくださいよ、これ以上動くとまたギクッと

なる!と思うような痛みが出た時にパニックに

ならずにそのまま動き続けてみてください。」

 

 

この話を聞いてFさんは「ええ~~?」と疑念

を抱きながらしぶしぶと私の意見を聞き入れた

ように見受けられました。

 

 

次の来院時にFさんは私が言う通り試してみた

と報告してくれました。

 

 

Fさん:「先生、やっぱり痛みが出なかった。

でも、ちょっとは痛かったんですね。でも前

のように立てないほどではありませんでした!」

 

 

私:「でしょ、だから大丈夫なんですって。

 

 

Fさんが痛みを気にするのは当然です。あんな

に痛い目にあったのですから。でも、なんとか

してこの挑戦を続けてみてください。絶対

大丈夫だから。私が保証します。絶対大丈夫!」

 

 

Fさんはその後、その挑戦をづづけてくれまし

た。Fさんはその後もギクッと来そうになった

ら来院されますがそのたびに私は「大丈夫!

」と彼女を支えました。

 

 

そうしてラッキーなことに、来院後まだ

ぎっくり腰は発症していません。

 

 

このまま偶然にもFさんに急性腰痛が発症しな

ければ、Fさんは自分の悪いイメージを結果と

して作り変えることになるでしょう。

 

 

つまりこれまでのFさんの腰痛は、骨盤が歪ん

で筋肉はカチカチになってどうにも治らない

腰痛、少しの痛みがぎっくり腰につながりそ

うと意味づけられた腰痛でした。

 

 

しかし、新しく意味づけされた腰痛は、原因

は明確にはなっていない(もしくは当然として

やってくる老化だ)けど、ぎっくり腰にはつ

ながらない腰痛というものです。

 

 

腰痛は実際になくなってはいないのですが、

「ぎっくり腰につながらない」ということが

わかった時点で痛みの意味が軽減したので

しょう。

 

 

Fさんはこの挑戦を継続することでうまく腰痛

の意味をつくりかえたのです。

 

 

(お刺身と灰皿の例で例えると、灰皿を

「新しいデザインの醤油受け」として意味づけ

して、おいしくお刺身を楽しむことができた!)

 

 

このような患者さんとのかかわりを治療方法

として意識するようになったのは、早稲田大学

eスクールで臨床心理学や認知行動療法の講義

の中でした。

 

 

広場恐怖症とその治療法であるエクスポー

ジャー(暴露法)を学んだときのことです。

 

 

ある特定の状況でパニック発作を起こした経験

のある人が、また同じ状況で発作が起こるので

はないか!と想像してしまい、同じ状況に身を

置くことができなくなるのが広場恐怖症です。

 

 

そしてその治療法として実際にその状況に身を

置いて、想像していた状況に陥らないことを

確認していくのがエクスポージャーです。

 

 

Fさんは、過去のぎっくり腰の経験があまり

にも苦しかったために、もしかしたら普段誰し

も感じる程度かもしれない腰の不調を、

ぎっくり腰の前兆として捉えていた可能性が

あります。

 

 

しかし、ぎっくり腰になりそうな痛みがやって

きても動き続けて(状況に暴露させて)、

ぎっくり腰が起こらない状況を確認すること

ができました。

 

 

このFさんの事例はうまくいった事例ですが、

もっと劇的に症状が改善した患者さんもいま

した。その患者さんの事例も紹介させてもら

います。

 

 

その患者さんの腰痛は椎間板ヘルニアと

坐骨神経痛でした。6ヶ月、ほぼ毎日の鍼治療で

全く症状の変化がない中、腰痛の意味の変化は

突然にやってきました。その変化は私も全く

意識していないタイミングでした。

 

 

(つづく)

*追記:急性腰痛(ぎっくり腰)と心理的

要因はよく取り上げられるトピックです。

私は精神医学者のアーロン・ベックという

先生の「認知療法」という本を読んだ時に、

ぎっくり腰になりやすい人のことを書いて

いるのか!と思うほどしっくりくる内容で

あったことに感動しました。その感動の

理由をどこかで取り上げたいと思います。

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小川鍼灸整骨院

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