論文紹介:むち打ち損傷の併用療法について【交通事故 はり 整形外科 平野区 加美】

 

はじめに

 

 

小川鍼灸整骨院のブログです。今回は、「整形外科治療とはり治療を併用して改善が見られた外傷性頸部症候群の一症例」という論文を紹介いたします。交通事故むち打ち症になった患者さんがはり治療で改善した事例を論文では取り上げています。

この論文についての解説・当院の意見を、大阪市、平野区加美北地域から発信します!

小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目の加美北地区、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

執筆担当は小川です。

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内容

 

 

交通事故によるむち打ち損傷で、長期の施術期間が必要になった38歳女性患者さんに対して、整形外科にも通院しながら、10ヵ月49回のはり治療を行い、その治療効果を事例報告しています。

 

 

 

事故の状況は時速30キロで軽自動車を運転中、急ブレーキをかけたところ後方より追突されたとのことです。

 

 

患者さんの症状はむち打ちによる肩こりと頭痛を伴った肩背部の痛みと指のしびれでした。

 

 

患者さんは週に2回ほど整形外科に通いながら、週に2回程度のはり治療も同時に受けていました。

 

 

はり治療は痛みのある場所に直接行なうのではなく、上肢と下肢にある、首と関係するツボを刺激する方法で行なわれました。

 

 

治療効果の評価は毎回の治療の前後で、NRSという方法を用いて比較されています。NRSはNumerical Rating Scaleの略で、自分の現在の痛みを0~10で表現してもらう方法です。今回の研究では、多くの場合「治療前8~6が治療後は1~2まで減少する場合がほとんどであった」と記されています。

 

 

結果に対する筆者の考察は次の通りです。

 

 

患者の症状は土井によるむち打ち損傷の分類の頚椎捻挫型に相当するものであった。

 

 

今回の事例の治療が長期化した理由として考えられることは、単なる頚椎の問題だけでなく、患者の心理的な問題、社会的な問題が関係している可能性もある。また、それらの患者の13%程度が整形外科だけではなくはりも利用しているという報告もある。

 

 

今回著者が患部にはり治療を行なわず手足に対する治療を行なった理由は、急性の頚部痛は局所に治療を行なうと症状が悪化するという報告があり、また著者は手足に対するはり治療で効果を得られている経験があったためであった。

 

 

「著者らは3ヵ月以上整形外科的治療を続けながら症状改善に満足しない難治性の外傷性頸部症候群94例に対するはり治療の症例集積で、罹病期間が1年未満であれば、混合型以外の型では鍼灸治療は高い効果が期待できると報告した」。今回の事例もはり治療を併用することで日常生活を維持しながら仕事に従事することができたため、はり治療が有効であったと考えられる。

 

 

今回の治療期間は10ヵ月と長く、自然経過によって症状が楽になっていったことは無視できない問題である。このことは、はり治療の効果を検討するための今後の課題である。

 

 

当院の見解

 

外傷性頸部症候群はいわゆる「むち打ち」のことです。当院でも交通事故によるむち打ち症の患者さにはり治療を行う事はよくありますが、患部に直接治療を行う事が多いです。確かに、頸部が非常に過敏になっている患者さんもいらっしゃいます。この論文を読む限り、遠隔治療を検討しても良さそうですね。

 

 

毎回のはり治療においてNRSの変化が非常に大きいのがこの患者さんの特徴と言えるかもしれません。痛みは主観ですので、この論文でも言及されているとおり、対象となる患者さんの痛みには心理的・社会的な背景があるのかもしれません。

 

 

 

当院でもこのような患者さんがいらっしゃいますが、治療を行ないながらお話しをよく聞くようにしています。特に患者さんが痛みをどのように捉えているのか、この痛みは何らかの不安と関連しているのか、疲れやストレスと痛みが関係しているのか、などのお話しをお伺いしながら、痛みの経験を整理して、痛みが自分にとって破局的なものではないことをしかりと理解してもらえるように関わります。

 

 

このような関わりを私たちは「認知行動療法的なかかわり」と今のところは名前を付けています。今後変わっていくと思いますが。

 

 

最後に付け加えられた、「自然経過によって症状が楽になっていった」可能性については、正にその通りだと感じました。

 

 

実際に多くの捻挫は無治療で自然経過として改善していくと考えられます。しかし、その事を痛みを持つ患者さんに説明して患者さんは納得できるでしょうか?

 

 

納得できる患者さんもいらっしゃると思います。その様な患者さんは早い内に治っているでしょう。

 

 

しかし、長期に及ぶ患者さんは、きっとそのように思えないのです。心理的・社会的な問題の元に、痛みと主観が絡み合って症状は複雑化しているように思われます。

 

 

このような患者さんにおいては、たとえ自然経過として改善していくものであったとしても、治療者がその時までしっかりと付き添ってあげる必要があるのではないでしょうか?

 

 

ここに私たち代替医療者の存在意義があるのだと当院は考えます。

 

 

追記)
筆頭著者の箕輪先生は面識のある先生で非常に精力的に業界のためにご尽力されている先生です。

 

おわりに

 

大阪市の平野区、生野区界隈で交通事故によるむち打ちの痛み、その他交通事故に伴う痛みなどでお悩みの方は是非とも小川鍼灸整骨院にご相談下さい。当院は大阪市の平野区と生野区の境目、平野区加美北地域、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

参考文献

 

箕輪政博, 形井 秀一:整形外科治療と鍼治療を併用して改善が見られた外傷性頸部症候群の一症例.日本東洋医学雑誌,59 巻 3 号p. 491-494 ,2008.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/59/3/59_3_491/_pdf/-char/ja

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小川 貴司(おがわ たかし)

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