頚肩腕症候群の施術経験【肩こり・頭痛・筋膜リリース・マインドフルネス】

はじめに

小川鍼灸整骨院のブログです。この記述を通して当院の施術がどのようなものなのかを説明させてもらいます。内容はプライバシー保護の観点から内容の本質が変わらない程度に加工しております。評価表は実際のものですが、説明文は加工を施しました。皆様が治療を受ける際のご参考になれば幸いでございます。

 

 

事例

患者様は40代の女性のSさんです。既婚でパートに出かけておられます。旦那さんのご両親と同居ですがストレスはないと仰っていました。主訴は肩こり頭痛です。症状は10年ほど前からどこに言ってもよくならないと悩んでおられました。肩こり様の症状と頭痛は10年前から続いており、頭痛は常にあると仰いました。

 

脳神経外科・整形外科へ行っても異常なく、症状もよくならない。鍼治療やマッサージを受けても一時的には良くなってもまた時間が経てば逆戻りを繰り返しておられたとのことです。

 

Sさんのお言葉で印象的だったのは、

 

「いつまでこんなことを繰り返さなければならないの?」

 

というものでした。

 

当院に来院されたのは、当院のホームページを見たことがきっかけでしたが、どうせまたここでも同じことなのかな?と半信半疑だったとのことです。

 

 

問診と診立て

初診時はだいたい30分から40分ほどお話しを伺い、そこから治療をおこないますので、1時間以上時間がかかってしまいます。Sさんの初診時問診で分かったことは、大まかに以下の4項目でした。

 

①筋肉の緊張と痛みが確実にあること、

②Sさんご自身が痛みについて非常に集中しやすいこと

肩こり頭痛について自分なりの解釈がしっかりあること

④医学的に明らかな異常所見が見当たらないこと

 

です。

 

なお、施術者である小川は、患者さんの施術を行なう前にはかならず西洋医学的な診立てを行なうようにしています。

 

そして医師の診察が必要な場合は医師を紹介するようにしています。

 

この観点からみて、Sさんは西洋医学的な異常所見は見当たりませんでした。しかしSさんは確実に痛みをもっておられそれにお困りでした。

 

特に興味深かったのは、「忙しいときには痛みは感じにくいけど、比較的時間に余裕が出来たときに痛みを感じやすい」というお話しでした。このことは、痛みに集中しやすいという特徴と関連しているように思われました。

 

 

施術

 

施術はアキレス腱から膝の裏、膝の裏から骨盤、骨盤から腰部・背部を経由して後頭部につながる筋膜を緩める筋膜リリースと整体、そして施術中になされる会話です。

 

更に会話の延長線上にマインドフルネスストレス低減法を指導しました。その理由は、5回目の治療の中で「痛みがあるときには意識が痛みに集中してしまう」ことや「満員電車に乗れない」ことがお話しの中で明らかになり、その事が症状発現の1つの原因であることを説明すると、Sさんはそのことに納得してくださったからです。

 

意識を呼吸に集中させようとすると、その意識は必ず何かに引っ張られて拡散しようとしてしまいます。しかしそのことを自覚してその拡散しようとする意識を再び呼吸に引き戻すことを訓練しました。

 

そうすることで、意識のコントロールが可能になります。意識が痛みに向く(集中)ことも意識でき、痛みをコントロールできるようになるのです。

 

これらの施術の目的は、

 

①筋膜と筋肉の動きを滑らかにすること、

②全身の関節の動きをスムースにすること

③カウンセリングを通して患者さんが自分の体についてどのようなイメージを持ち、治療の中でそのイメージがどう変化するのかを知ることです。

 

施術は週に2回4週間、合計8回の治療で最初の痛みを10として8回目の痛みは2なりました。彼女はいつも施術直後に爽快感を感じてくださっていました。

 

 

結果

当院では治療開始時の主観的な痛みの程度を10として、その後その痛みがどのように変化していったのかを評価しています。評価はいつも治療の前にお伺いします。治療の直後効果ではなく、治療を受けてから次の治療当日までの痛みについて、治療の前にお伺いするのです。初診時の痛みは治療を受ける前の痛みでその後の評価の基準となります。Sさんの痛みの変化は以下の通りです。

 

 

初診時 10
初診時の問診では上記①~④のことがわかった。

 

2回目 8
調子は良いが台風のせいで頭痛が強い。

 

3回目 6
肩こり頭痛はマシだが前頚部がつらい。背中も楽。

 

4回目 8
背中と頚がすごく気になる。1週間のなかでムラがある。

 

5回目 6
痛みを感じやすい時間に気付いた。また広場恐怖症があることがわかったので、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)を指導した。

 

6回目 6
MBSRは難しいけど、自分の脳をだまそうとやってみたら頭痛がなくなった。肩はまだ痛い。

 

7回目 4
前日はすごく疲れたが今日は楽。いつもならもっと不調が続くはずなのに。

 

8回目 2
程よく忙しく、痛みを考える時間が少なかった。自分の中での思い込みが症状をつくっているのでは?と思った。

 

 

考察

改善した理由として考えられることは大まかに次のように考えられます。

 

筋膜リリースを通して筋肉と筋膜の滑りが良くなり、また、痛みのそれによって肩周りの痛みが軽減した。

②整体によって関節可動域を拡大することは、筋膜にとっても良い環境が整った。

③Sさん自身が自分の痛みに対する意識を自分でコントロール出来るようになったことが大きかったと思われます。(このことは、彼女本人の口から伺うことが出来ました。)

 

長く続く肩こり、頭痛の原因は明確になっていません。だから可能性として考えられることを列挙し、それに合わせて細やかな治療を行なうことが重要になります。

 

肩こり頭痛に関しては、首と肩周りの筋肉に原因があったり、首の骨や椎間板に原因があったり、生活スタイルや姿勢、更には個人の考え方や性格まで関係するとされています。

 

当院では初診時にそれらの可能性についてすべて考え、体の状態を整えながら心の状態も整えるようにします。心の問題について患者さんと考える際には、患者さんから積極的にお話ししてもらう必要があるのですが、積極的になれない患者さんもいらっしゃいます。その様な患者さんには無理せず体の状態を先に整えるように心がけています。

 

 

あとがき

原因が分からない痛みでお困りの患者さんは非常に多くいらっしゃいます。そのような患者さんを最近はMUS(Medicaly Unexplained Symptom;医学的に説明できない兆候)としてひとくくりにされています。この治療には様々な方法が検討されていますが、専門的に定められた治療方法はありません。当院では、そのような患者さんに対して、患者さんの個々の体の状況を理解して、患者さん個人の考えを丁寧に聞き取りながら治療を行ないます。肩こり頭痛、肩周りの痛みでお困りの患者さんは一度、小川鍼灸整骨院にご相談ください。小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

 

参考文献

竹井 仁:Myofascial Release(筋膜リリース).理学療法科学, 16 巻 2 号 p. 103-107 ,2001

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/16/2/16_2_103/_pdf/-char/ja

 

岡田宏基:MUS,FSS,身体表現性障害、そして心身症 : 概念の理解と整理についての私案および一般医へのトレーニングプログラム. 54 巻 11 号 p. 991-1000,2014

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/54/11/54_KJ00009574487/_pdf/-char/ja

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