論文紹介:職業性腰痛の現状と展望【腰痛 心理・社会的要因】

はじめに

小川鍼灸整骨院のブログです。今回紹介させて頂く論文の著者は、神戸労災病院(執筆当時)に所属されておられた栗原章先生です。論文の題目は「職業性腰痛の現状と展望」です。今はは2019年なので、17年前に書かれた論文ですが、面白そうなので取り上げてみました。

内容

職業に関連する腰痛は、職業性腰痛といわれ、日本では労働法規上、災害性腰痛と非災害性腰痛に分けられます。職業に関する腰痛については、腰痛になりやすい職業やその作業内容などが明確になりつつあると言われますが、その実態が明確ではありません。なぜなら、職業性腰痛には個人差、つまり心理・社会的要因が影響するからだそうです。

 

腰痛の職業性危険因子は

 

1)作業要因
2)環境要因
3)心因的・社会的要因
4)個人的要因

 

に大別されるといいます。

 

つまり

 

1)作業要因(どのような作業で腰痛になりやすいのか)、と 2)環境要因の分析からは、

 

どのような職種と作業内容において腰痛が起きやすいのかについては研究の蓄積があるのですが、

 

3)心因的・社会的要因と 4)個人的要因は

 

数字で表すことが難しく、

 

結果として、1)、2)でわかったことがぼやけてしまうというものでしょう。

 

分かっていることとして、

 

①肉体労働者は腰骨の変性(老化)が進みやすい可能性があること、

 

②継続的な静的労働姿勢も腰痛を起こしやすく、労働時間の半分を自動車運転に費やす人たちは椎間板ヘルニアの発生率がそうでない人たちよりもヘルニアの発生率が平均して3倍高いらしいです。

 

③大患の屈曲やひねりも腰痛を引き起こしやすいということです。

 

④物体の挙上が腰痛の原因になることは多くの研究から明らかにされていることで、重
量物挙上を行なう労働者は静的労働者の人たちよりも8倍腰痛になりやすいらしいです。

 

⑤物体の押し・引き、

 

⑥反復作業、

 

⑦振動は椎間板や脊柱を支える筋肉に影響を与えて腰痛が起きやすく、またレントゲン
検査では腰骨の老化が早くなる可能性が高いということです。

 

 

腰痛対策としては、雇用側が腰痛対策を講じる必要があります。特に有効なのは、腰痛教室とよく言われる、腰痛についての患者教育だそうです。

 

 

しかし、「職業性腰痛の予防対策が講じられても、この実行には勤労者、企業の努力に頼らざるをえない。しかし、腰痛に対する理解があっても実行力に乏しいのが現状であり、法律による強制、行政指導が必要となるのも人間社会の宿命である」

 

とか、

 

腰痛は、生命を直接脅かす事例がなく、誰にでも発症するいわばヒトにとって寿命ととらえられるきらいがあり、また、発症が予防によって確実に減少する実証がないことなどが本疾病が等閑視される原因」

 

と述べておられ、職業性腰痛対策の根底にある大きな問題点も指摘されておられます。

 

当院の意見

 

 

当院にも職業と関連する腰痛で通院される患者さんは多いです。1)作業要因と2)環境要因はすぐに取り去ることができない原因ですし、それに加えて3)心因的・社会的要因と4)個人的要因が絡み合っているので治療も難しくなってきます。特に心理社会的要因については、患者さんご自身が理解することが難しいようです。

 

またこのような患者さんは、一度整形外科を受診されてから私たちの所にやってくる方も多いのですが、栗原先生がおっしゃる通り整形外科の先生方は職業性の腰痛にあまり関心がないようです。しかし、17年前よりも今のほうが原因が明確にならない腰痛に対する関心も高まっているように私は思います。

 

職業性の腰痛の患者様に対して当院では、まず第1に患者さんと腰痛の原因についてしっかりとお話しをして納得して頂く事にしています。不思議なことですが、このことによって患者さんが安心して腰痛が半減することが良くみられます。また、作業要因につきましては、それに対する対策(姿勢の改善や作業時の工夫など)を一緒に考えていくようにします。痛みが強い時には、鍼治療を行ない鎮痛します。

 

 

おわりに

 

栗原先生の論文は、患者さんにとっても治療者にとっても非常に有益なものであります。私自身も非常に勉強になりました。私は医師の先生方の研究を参考に治療をさせて頂いておりますので、本当に有り難い限りでございます。

 

大阪市の平野区・生野区界隈で、腰痛でお悩みの方は是非とも小川鍼灸整骨院にご相談下さい。当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

 

文献

 

栗原 章:腰痛の現状と展望.日本腰痛会誌,8(1): 10 – 15, 2002

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/8/1/8_1_10/_pdf/-char/ja

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