28.臨時ブログ  利用者様の自尊心と家族の負担

2015年7月のブログです。ホームページ移設

のためにここに移動しました

 

 

先日、ある利用者様から大きな学びの機会を

得ました。

 

 

「学びの機会」と書きましたが、それはどうも

消化しきれない、昇華しきれない、落とし

どころのない苦い学びでした。

 

 

今はもう自立歩行ができないFさん(男性)は、

厳格な父として、勤勉な労働者・技術者として、

敬虔な愛国者として戦前戦後を生きてきました。

車いすに座りながらも体格はその年代の方とし

ては大柄で堂々としており、目つきはまだまだ

鋭い。

 

 

 

戦時中の出来事や戦争にまつわる国際問題に

関心を持ち、整骨院に通院されていた頃も

歴史的なお話を私たち戦争を知らない世代の者

に熱く語ってくださいました。

 

 

 

この時代の人たちは日本の家父長制文化の中で、

「厳しい時代を生き延びてきた」

「戦後の日本を自分たちが支えてきた」

という強い自尊心をお持ちの方が多いですが

Fさんもそのお一人と数えられます。

 

 

 

ある時、そのFさんのご家族から入浴介助の

ご依頼がありました。

 

 

 

私は威厳と自尊心に満ちたFさんの入浴を介助

することになりました。

 

 

 

私は、当初より入浴に消極的であったFさんを

なんとかなだめながら入浴介助をしてきました。

 

 

 

「さあ、○○さん、今日もお風呂にはいりま

しょうか!」

 

「いやだ!」

 

「なんでですか、お風呂入るとさっぱりして

気持ちいいじゃないですか(笑)」

 

「いやだといったらいやだ!」

 

「またまたまたあ~~(笑)」

 

 

と言いいつつもお風呂の中でニコニコされて

いたのです。

 

 

しかしある日、「本当に今日は入らない!」と

強く訴えられました。その目はいつも以上に

厳しく私には、

 

 

「この若造が偉そうにしやがって、お前ごとき

の言うことになぜワシが従わなくてはいけない

のか!風呂はワシが入りたい時に入るんじゃ!」

 

 

と言っているように思われました。

 

 

私たちはいつも通りになだめるのですが、

Fさんは聞き入れてくれません。

 

 

息子さんに電話で相談したところ、

「力づくでも入れてほしい」と訴えられました。

 

 

息子さんは毎日車で1時間の道のりをFさんの

介護のためにやってきます。特に洗濯物や排便・

排尿のお世話にてこずっており悩んでおられま

した。

 

 

息子さんが言うには、Fさんは住居スペースを

汚してしまうこともあり、かなりお疲れのご

様子です。

 

 

しかし、どう考えても本人様が拒否するのを

強引に入浴させることはできません。

もう一度電話をすると息子さんが「今から行き

ます」と言ってくれました。

 

 

息子さんがいらっしゃって、Fさんを説得しま

した。

 

 

この説得という形の親子の会話には、父親とし

てのFさんの威厳に満ちた自尊心と、威厳的で

厳格な父に従うことに疲れ、介護の現実的な

負担にも疲れ果てた息子さんとの間の軋轢が

表れていました。

 

 

Fさんは今まで何の問題もなく自分の思い通り

になっていたことが全く思い通りにならない

ことに非常にいらついておられました。今まで

は従順だった家族が自分の思い通りならない。

 

 

そればかりか、自分の身体すら思い通りになら

ない。この葛藤は尋常ではなく、ストレスとい

う言葉では間に合わないほど複雑で悔しい気持

ちだったでしょう。

 

 

2000年に政府は介護保険制度を施行しました。

 

その目的は今後増え続ける高齢者の介護の

担い手を政府が準備すること、

 

要介護者の家族の負担軽減、

 

それに雇用の促進です。

 

 

現在の不景気のなか、介護保険制度は見事に

雇用を生み出しました。

 

 

要介護者は制度によって専門的な介護を受けら

れるようになりました。

 

 

そして要介護者の家族介護の負担は軽減され

ました。

 

 

しかし、ここには利用者の自尊心の問題は表に

出てきません。

 

 

もちろん、倫理的に自尊心は尊重されるべき

でありそのことは介護のテキストにも記載され

ているでしょう。

 

 

しかし、テキストに解決方法など載っていま

せん。そもそも解決方法なんてないのですから。

 

 

Fさんの自尊心の尊厳はどうなるのでしょうか?

 

家族様の精神的な負担はどうなるのでしょうか?

 

これらの解決に至らない問題点を忙しさのなか

に埋没させず意識しながら利用者様と向き合う

ことが当面私たちにできることではないか?

 

 

とりあえずはこの問題をこのように置いておく

ようにしようと思います。

 

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以上、臨時のブログでした。

(つづかない!)

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