痛みのある部分と筋肉の硬さについて

鍼灸治療1
治療場面ではこんな会話が良く行われます。
患者さん:「先生、今日は肩がすごく凝っていて
カッチンコンチン、この硬さがなくなれば肩こりも
なくなるよね、」
先生:「うわー、ほんとにカッチンコッチン、さっ
そく治療して柔らかくしましょう!」
私たちが普通にしているこのような会話、これって
本当なのでしょうか?肩が凝っている部分の筋肉は
本当に硬くなっているのでしょうか?2009年の全日本
鍼灸学会雑誌に興味深い論文が掲載されていました。
「肩こりと肩上部の硬さとの関係」という論文です。
この研究は、60名の「肩こりのある人たち」と10名の
「肩こりのない人たち」に対して、肩こりの程度、肩の
上の筋肉の硬さ、鍼治療後の肩こりの程度を調べたもの
です。
まず、「肩こりのある人たち」の肩の上の筋肉の硬さと
「肩こりのない人たち」の肩の上の筋肉の硬さを比べました。
肩の上の筋肉の硬さは硬度計という機器を使用して計られ
ました。結果は「肩こりのある人たち」と「肩こりのな
い人たち」の肩の上の筋肉の硬さの平均値に差はなかった
そうです。
次に、「肩こりのある人たち」の筋肉の硬さと肩こりの
程度を調べたところ、硬い人の方がきつい症状を持って
いるという関係性もみられなかったということです。
そして「肩こりのある人たち」のなかで、鍼治療をした人
の肩こりの程度は鍼治療をしていない人(肩こりはあるが
別の治療を行っていたので肩には治療しなかった人)に
比べてその程度は小さかったというのです。
つまり、肩が凝っている人の方が筋肉は硬くなっていると
いうことはなく、また肩の筋肉が硬い人の方がきつい症状
を持っているということもありませんでした。そして、
肩こりに対して鍼治療をした人の肩こりの程度は小さくなっ
ている、つまり鍼治療は効いているということでした。
僕もよく肩こりを感じますが、そんなときにはこりを感じ
る部分に手をあてて筋肉をもんでしまいます。その時には
やっぱり硬さを感じるんですね。
「この硬さがなくなったらこりもなくなるんじゃないか!」
プロの鍼灸師である僕ですら真剣に考えてしまいます。
しかし、科学的な検証の結果はそうではなかった!確かに
そうではあるのですが、やっぱり患者さんも同じように
肩が凝ると筋肉が硬くなると信じているのではないでしょうか。
このことを否定すると患者さんはなんて言うでしょうか?
「そうなんだ、関係ないんだ!よかった!」喜ぶでしょうか?
それとも、「えー、そんなはずないよ、だってこんなに硬いのに!」
と不満を表すでしょうか?
僕は、科学的な事実を正しく理解しながらも症状が軽く
なるのであれば随時説明の仕方を変えていくことが一番良い
のではないかと思いました!
でも、この研究で一番重要なことは、やっぱり肩こりに
鍼治療が「効果あり」ということですね。
参考文献
肩こりと肩上部のかたさとの関係.奥野 浩史, 竹田 太郎,
笹岡 知子, 福田 文彦, 石崎 直人, 北小路 博司, 矢野 忠,
山村 義治.全日本鍼灸学会雑誌 vol.59(2009)No.1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/59/1/59_1_30/_pdf

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