喪章

ホームページ移設のために以前の記事をアップさせていただいております!

以下は2011年12月の記事です

 

先日、当院によく通院されていたキムさん(仮名)がお亡くなりになり

ました。同じく当院の患者さんである奥様から報告を受け、そのことを

知りました。

 

当院は土地柄、在日韓国人の患者さんが非常に多いのですが、お亡くなりに

なられたキムさんも在日韓国人です。

 

報告を受けた数日後、来院されたキムさんの奥さんをマッサージしようとし

た際に、髪の毛に紙切れのようなものが付いているのをみつけました。

奥さんに「髪の毛に何か付いていますよ」と知らせると、「これはゴミじゃ

 

ないよ(笑)」と教えてくれました。

話を聞くと、どうも喪章のような役目をするしるしのようなものらしい

です。キムさんの許しを得て、写真に撮らせてもらいました。

 

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「顔は撮らんとって(笑)」

 

キムさんの話によると、キムさんの出身地である韓国の済州島では、身内が

なくなるとこのような布切れを紙に付けて誰かが亡くなったことを周囲に

知らせるそうです。

 

そして、それを見た人は、「ああ、あの人、だれか亡くなってんな」という

具合に、その人に気を配ることになるらしいです。日本で暮らして50年以上

になるキムさんの奥さん。

 

日本の生活がこんなにに長いにもかかわらず、日本では一般的でない済州島

の習慣を慣行するということには何があるのでしょうか。私が感覚的に感じ

たのは、旦那さんへの可能な限りの哀悼の意です。

 

私の中のイメージでは、キムさんは儒教の精神を重んじる古きよき時代の

韓国人であり、家族のきずなを大切にする人でした。

 

私は治療中に、キムさんから興味深い儒教的なお話をたくさん聞きました。

 

例えば元旦には、孫を全員一列に並べて自分の前に正座をさせ、お年玉を

渡しながら説教するといいます。

 

この話を特徴的な高笑いと共にうれしそうにお話しする旦那さんを今でも

思い出します。

 

またキムさんの手は、仕事柄シンナーや塗料などの刺激物を扱うために、

皮膚は分厚くなりひび割れその間に塗料が入り込んでいるという状態でした。

 

もちろん、戦後の同じ時代に生きる日本人の方もそうだと思いますが、

在日1世の方たちは、日本で生きていくために非常によく働いたと聞きます。

 

キムさんもきっとそうでしょう。

 

節くれだったごつごつした手とその人柄から、私はキムさんの奥さんが

キムさんの死に対して可能な限りの哀悼の意を表したい気持ちが分かる

ような気になりました。

 

開業11年目ともなると、本当にいろいろな物語とともにいろいろな感情が

蓄積してくるものですね。

 

私もキムさんに哀悼の意を表したいと思います。

キムさん、いろいろ楽しく興味深いお話しをいろいろ聞かせて頂いて

ありがとうございました。安らかにお休みください。

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